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2009年09月30日

ヒトラー版ランボー

ヒトラー版ランボー


何も終わっちゃいねえ! 何も! 言葉だけじゃ終わらねえんだよ!
俺の戦争じゃなかった、ユダ公を儲けさせるために戦わされたんだ!
俺は大ドイツが勝つためにベストを尽くした。だが誰かがそれを邪魔した!
シャバに戻ってみると、共産主義者どもがぞろぞろいて抗議しやがるんだ!
俺のことボヘミアの伍長とかなんとか言いたい放題だ。やつらに何が言えるんだ!
奴等はなんだ俺と同じあっちにいてあの思いをして喚いてんのか! 俺にはシャバの人生なんか空っぽだ!

戦場じゃ礼節ってもんがあった。助け合い支えあっていた。ここじゃ何もねえ…
あっちじゃ銃も撃てた。馬にも乗れたよ! 100万人の戦友と戦えた!
それが国に戻ってみれば、画家にも建築家にもなれないんだ!!
畜生…みんなどこ行ったんだ…クソ…
陸軍にも友達がいた。みんないい奴だった。あっちじゃ友達はごまんといた。
それなのにどうだ? ここには何もねえ…

ダンフォース…憶えてる。俺いつか羽根ペン一本とって拾い物ってベルリンに送ったんだ。
俺たちいつもベルリンのこと、婚約者のこと喋ってたから、あいつはいつもかわいい婚約者のこと喋ってた。
帰ったら二人で結婚式をあげるんだって…
俺たちがいたあの最前線に軍曹がやってきて、盗んできたフランスワインを持って『一緒に飲まないか』そう言ったんだ…俺は断ったが、しつこくせがむんでジョーイは承知したんだ。
俺、ビールを取りに出た。その時、塹壕に手榴弾が投げられ、あいつの体は吹っ飛ばされちまった!

すごい悲鳴だった! あいつの血や肉が俺の体にべっとりついてこんなに!!
引っぺがさなきゃならなかった! 友達が、俺の体中に飛び散って! 俺、なんとかあいつを抑えようとしたけど、どうしても内臓がどんどん出てくるんだ! どうにもできなかった! あいつ言うんだ『俺うちへ帰りてぇー帰りてぇー』
そればっかりだ『国へ帰りてぇー帰って婚約者に会いてえよー』
でも…あいつの足がみつからねえんだ…足がみつからねえんだ…

あれが頭にこびりついてる。もう7年にもなるのに…毎日思い出すんだ…
目が覚めて、どこにいるのか分かんねえ時もある。誰とも喋れねえ…時には一日…一週間も…忘れられねえ…あれが…

投稿者 teitoku : 2009年09月30日 00:04